メタボリックシンドロームとは、現代社会に特徴的な“飽食と運動不足”により引き起こされたもので、将来、心筋梗塞や脳梗塞などの脳心血管疾患を発症しやすい状態です。
世界の中でも、特に日本はここ数年メタボリックシンドロームが急増しています。
メタボリックシンドロームはベースに過栄養や運動不足があり、それにより内臓脂肪の蓄積が起こります。
内臓脂肪が蓄積されると血圧上昇、糖代謝異常、脂質代謝異常などが引き起こされ、その状態を放置すると高血圧、糖尿病、脂質異常症が発症します。
特に遺伝的素因のある方は簡単に発症します。
この状態も放置されると心筋梗塞、脳梗塞、腎不全(透析)に至り、取り返しのつかない状態になります。
最近では30歳代、40歳代の心筋梗塞、脳梗塞も稀ではありません。
働き盛りにこれらの疾患を発症すると本人、家族、職場に計り知れない大きな影響を及ぼすことになります。
名古屋循環器科・内科では、健診でメタボリックシンドロームと診断された方に、メタボリックシンドロームの精密検査をお勧めしています。
メタボリックシンドロームの診断基準
メタボリックシンドロームの病態
メタボリックシンドロームの精密検査
頸動脈エコー
頸動脈は体の中で最も体表に近いところを通る太い動脈です。
頸動脈エコーは動脈硬化の進行を評価できる簡便な検査です。
頸動脈の動脈硬化性変化は脳循環系のみではなく、心臓の筋肉に酸素を供給している冠血管の動脈硬化性変化と相関性が高いといわれています。
検査についての詳しい情報は循環器検査をご覧ください。
運動負荷心電図
運動負荷心電図は、すでに潜在的に進行している虚血性心疾患を診断するために行われる検査です。
無症状のうちに心臓の筋肉に酸素を供給している冠血管の動脈硬化が進み心筋虚血が起こっていないかを調べることができます。
名古屋循環器科・内科では自転車エルゴメーターを用いて行います。
検査についての詳しい情報は循環器検査をご覧ください。
糖負荷試験
糖代謝異常を認めた時に行います。
糖負荷試験とは、空腹時に75gのブドウ糖を経口的に摂取し、血中に速やかに吸収させた後の血糖およびインスリン量を測定するものです。
負荷前、負荷30分後、負荷1時間後、負荷2時間後の4回血液検査を行います。
この検査により、正常型か境界型か糖尿病型かを診断することができます。
また、インスリン抵抗性の有無やインスリン分泌能低下の有無がわかります。
メタボリックシンドロームの治療
食事療法
内臓脂肪の減少を目指します。
そのためには1日の必要摂取カロリーを計算し、毎日摂っているごはんや脂肪の量が適切かどうか点検することが大切です。
運動療法
ウォーキング(速歩)、ジョギング、水泳などの全身を使った有酸素運動をお勧めします。1日に30分以上で、1週間に3日以上行ってください。
運動療法により、内臓脂肪の減少、血圧の下降、血糖の下降、中性脂肪(悪玉)の下降、HDLコレステロール(善玉コレステロール)の上昇が期待できます。
薬物療法
食事療法と運動療法が基本ですが、心筋梗塞や脳梗塞への予防として薬物療法の併用が必要となる場合があります。
メタボリックシンドロームの対象となる方に使用される薬物は降圧薬、血糖降下薬、脂質異常症治療薬、抗血小板薬・抗凝固薬などです。